Kさんは、以前にも一度うちに頼んでいる。工事前は近所の築10年の戸建てに住んでいた。全面がクロス貼りの家で、息が詰まりそうだと言っていた。
「今まで色んな所で工事してもらったけどしっくり来なくて」
2軒目は自分で見つけてきて、見てほしいと連絡があった。神戸市垂水区、高台の築25年。明石海峡大橋が見える。眺望と、家の作りと、近所の雰囲気。勧めた。

天井と梁は、最初から見せるつもりで話していた。それが好みだと分かっていたから。開けてみて、予想通りだった。

床は土間にした。Kさんは仕事柄土間の上で仕事をしている。僕の先輩の家が全面土間だったので、その家が掲載されてる雑誌を見てもらった。床が固いこと、フローリングの感触がないこと、冬に冷えると木造より寒くなること。伝えたうえで決めた。

犬がいるので、エアコンは年中つけっぱなしになる。コンクリートは熱を溜める。高台で風が通るぶん、そのコンクリートが冷える。四季をひととおり過ごして、年中快適だと聞いている。

キッチンの腰壁は、ブロックを積んだ。腰壁を立てて天板を乗せるのでは、この家には違うと思った。古き良きキッチンになればと思った。土間との相性もいい。

色を付けたのは、壁の塗装だけ。マットホワイト。いちばん邪魔をしない色だから。あとは全部、材料そのものの色になっている。

棚に並んでいる土鍋と器は、前の家から持ってきたもの。水槽もそのまま運んできた。



